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遠近両用レンズのレイアウト 4

遠用 瞳孔距離 60mm

近用 瞳孔距離 57mm

と、瞳孔距離が書かれている眼鏡処方箋

眼科発行の眼鏡処方箋で遠近累進メガネを調製する場合、「近用 瞳孔距離 (PD)」の問題もあります。

遠用瞳孔距離と近用瞳孔距離の差は「インセット量」もしくは内寄せ量」と呼びます。(HOYAレンズ)

このインセット量はレンズ設計によって、異なります。

① 度数によって、内寄せ量が変化するもの。

② PD、遠用度数、加入度数の定義によってインセット量が変化し、必要に応じてインセット量を指定できるもの。

のレンズがあります。

メガネ店で①設計の遠近累進両用レンズをメーカーに注文するときは、

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遠用度数 

右 球面 +1.00 円柱ー0.75 軸 180  加入度数 2.00

左 球面 +1.50 円柱ー1.00 軸 180  加入度数 2.00

瞳孔距離 右眼29mm 左眼31mm

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と注文します。近用PDを書く必要もないし、書けばややこしくなるだけで意味もありません。

しかし、眼科は遠近累進の処方であっても、「近用瞳孔距離」を指定してきます。

これは何を意味するものか・・・・?

おそらく近用度数(老眼鏡)で単焦点レンズで作るときの瞳孔距離を書いているものだと思いますが、いまいちハッキリしていません。

眼鏡技術者は戸惑うばかりです・・・・。

だから、たいていは近用瞳孔距離は無視して、調製することになります。(当店は)

もし、眼鏡処方箋の瞳孔距離通りに作るとなると、必然的に②番のレンズになります。

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遠用アイポイント  右 30mm、左30mm

インセット量     右 1.5mm 左 1.5mm

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と注文します。

これで処方箋記載の瞳孔距離と辻褄は合うのですが、実際に掛けるメガネとの整合性が合わなくなる可能性が高くなります。

それは頂間距離(眼とレンズとの距離)、目的距離によっても内よせ量が個々に変わるからです。

つまり、遠近両用メガネのレイアウトは「フレームによっても変えないといけないこともある」ということも言えるのです。

眼科処方箋との辻褄合わせを優先するか、遠近累進レンズの性能を最大限発揮するためにレイアウトするか・・・・。

つづく

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