メガネ屋が悪い!と言う眼科。
「眼鏡処方箋で調製した遠近累進メガネの具合が悪いです」と、ご相談をお受けしました。(他店調製のメガネです)
眼鏡処方箋度数は、
遠用 右 S+2.75D C-0.25D Ax70
左 S+3.00D C-1.00D Ax100 PD63mm
近用 右 S+4.50D C-0.25D Ax70
左 S+5.50D C-1.00D Ax100 PD61mm
(SはSpherical、遠視、近視の球面度数。DはDioptre、曲光力、度数の単位。CはCylindrical、円注、乱視度数。
AxはAxis、乱視軸。PDは瞳孔間距離です)
左右で「加入度数」が違う処方になっています。
「加入度数」とは、遠用部の度数と近用部の度数との度数差のことです。
たとえば、遠用部の度数がS+2.00Dで、近用部の度数がS+5.00Dならば、加入度数は+3.00Dということになります。
【今回の処方箋では、右の加入度数は(S+4.50)-(S+2.75)=1.75
左は(S+5.5)-(S+3.0)=2.5】
遠近累進メガネの場合、左右で加入度数が異なれば、累進帯長での横幅視野などが左右で異なってきます。
(加入度数が少ないほど、累進帯での視野が広くなり、ユレ歪みが少なくなります)
これは、遠近累進メガネが使いづらくなる可能性が高くなります。
なぜなら、人間は左右眼での情報が異なるものは嫌う性質があるからです。
では、なぜこの眼科は加入度数を左右で変えたのでしょうか・・・・。
一つは遠近累進メガネの知識不足でしょう。
おそらく遠近累進の構造などが理解できていない。
もう一つは、遠近累進メガネを作る上で重要な要素である「遠近累進調製の経験」が足らない。
遠近累進メガネはユーザーの使用目的によって、メガネタイプを選んだり、加入度数の設定をしないといけません。
かつ選んだフレームの大きさなどにより、レンズタイプを決定し、タイプに応じた度数調製をしていくことが肝心です。
そういうことを眼科でできますか。眼科で経験できますか?
病気を治すことが本職の眼科では難しいでしょう。
このかたは、具合の悪いことを眼科に訴えたそうです。
すると眼科は「このメガネは処方箋通りにはできていません」と、言ったそうです。
それで当店に「このメガネ処方箋通りに調製できていますか?」とお尋ねになられたのです。
メガネを詳しく調べてみますと、フィッティング調整には問題がありますが、度数に関しては、ほぼ処方箋通りにできていました。
この眼科はどこがどう悪いのかの具体的な指摘もなく、ただ「メガネ屋が悪い!」と、それだけです。
これはオカシイです。これが大きな問題です。
遠近累進のチェックもマトモにできない眼科が、そんな判定をするなんて!
そんなことをしているから、クレームから学ぶ経験ができないのです。
濡れ衣を着せられたメガネ屋さんは災難ですね。
今回の件も
「設計(処方)が悪ければ、快適な家(メガネ)にはなりません」ということでしょう。
この眼科の今回と同じような事例があります。→『こちら』にどうぞ。
PDも同じ・・・・・これは偶然なのだろうか。
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