近視について 119
<近視で外斜位>
ビジョントレーニングは、
・外斜位のかた
・輻輳力が弱いかた
などに最も効果的です。
時々、抑制をするかたにも効果的なトレーニングです。←輻輳力
両眼視機能に問題のないかたでも、スポーツ能力、学習能力を高めるためには、ビジョントレーニングが有効です。
目と脳を鍛え、脳力を高め、スキルアップを図りましょう。
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<近視で外斜位>
ビジョントレーニングは、
・外斜位のかた
・輻輳力が弱いかた
などに最も効果的です。
時々、抑制をするかたにも効果的なトレーニングです。←輻輳力
両眼視機能に問題のないかたでも、スポーツ能力、学習能力を高めるためには、ビジョントレーニングが有効です。
目と脳を鍛え、脳力を高め、スキルアップを図りましょう。
近視で外斜位のかた
視機能トレーニングが有効な場合があります。
トレーニングでは、輻輳刺激、開散刺激を起こしていき、その刺激により、眼と脳を鍛えます。
同時に立体視(左右の像が融像され、奥行き感覚が得られている状態)の向上も目指していきます。
両眼の連動が良くなり、眼球運動がスムーズになるように繰り返しトレーニングをしていきます。
トレーニングに使用する視標は、RG(レッドグリーン)視標です。
さまざまな視標がありまして、眼位(視軸の向き)などにより、使用する視標を選択していきます。
複数の視標でトレーニングすることにより、眼球運動の柔軟性を高めていきます。
輻輳、開散刺激を自由に変えられる視標では、輻輳要求、開散要求を変えていき、眼球運動レベルを高めるトレーニングをします。
このトレーニング(テスト)では、
・両眼で同時に物を見ているか(同時視)
・抑制があるかどうか
・立体感を感じるかどうか(立体視)
・輻輳力、開散力は、正常かどうか
のチェックができます。
<近視で斜位>
眼の不具合は「適切なメガネ調製」で改善できることも少なくありません。
当店は、遠見眼位と近見眼位を独自の測定方法で丁寧に測定します。(必要のないかたにはしません)
不具合に感じる点を詳しくお聞かせください。
メガネを調製する場合は、
・お客様の症状
・斜位の方向
・斜位の量
・斜位タイプ
・融像力
・年齢
・環境
・用途
などを考慮に入れて
・度数を調整する
・レンズタイプ選択
・プリズムレンズ装用
など、よりベターな方法をご提案いたします。
たとえば、
「輻輳不全」のかたには、近見作業の時だけ近見専用のプリズム入りメガネをご提案いたします。
こうすることにより、輻輳が楽に行えるようになります。
いずれの方法もメリット、デメリットがありますので、詳しくご説明いたします。
斜位のタイプにより視機能訓練が有効な場合があります。
視機能訓練に関しては、斜位のタイプにより適切なトレーニング方法をアドバイスいたします。
トレーニングは面倒に感じるかたもおられると思いますが、メガネ調製だけでいろんな症状がとれるわけではありません。
できるだけ積極的に、適度にトレーニングをしてください。
お子様(7歳)のPD(瞳孔距離)が62mmと記入されていることを眼科に問い合わせてみました。
すると、「これは52mmの間違いです」ということでした。
問い合わせてよかったです。
しかし、こんな問い合わせをすることは、メガネ屋にとってはリスクがあります。
心象を悪くする眼科医もいるからです。
「メガネ屋が、眼科に問い合わせをするのは生意気だ!」と。
(今回も眼科からは、「ご指摘ありがとうございます」の言葉はありませんでした)
ですから、不適切な処方だと思っても、そのまま(処方箋のまま)調製するメガネ屋も少なくないでしょう。
たいていのメガネ屋は基本的に「処方箋は尊重する姿勢」なので、「そのまま作る」は悪いことではありません。
しかし、その結果「メガネ難民」と呼ばれる患者さんを作っている現実もあります。
近視で外斜位
外斜位は外側(耳側)、内斜位は内側(鼻側)方向に視線のズレがあります。
斜位は遠見時と近見時では、変化します。
それは、遠見時と近見時では、視線や姿勢が違い、眼の機能も遠見時と近見時では、違う使い方をしているからです。
近くを見るとき、眼の調節機能が遠見時とは変化し、眼球を動かしている眼の筋肉も変化します。
近くをを見るときは、眼球を内側に寄せる力「輻輳力」を使います。
遠くを見るときは、眼球を外側(耳側)に寄せる力「開散力」を使います。
調節機能と輻輳機能は連動しています。
ということは、調節機能と輻輳機能に関連がある「斜位」も遠見時と近見時では変化するということです。(ほとんど変化しないかたもいます)
斜位の中でも、上下方向の視線のズレである上下斜位よりも、水平方向の内斜位、外斜位のほうが、上記の機能と関連が深くなります。
両眼の瞳孔中心間距離(pupillary distance)を略してPDと呼んでいます。
PDと眼鏡レンズの光心が一致することによりプリズム誤差は生じません。
・プリズム作用により眼の筋肉が外方向(耳側)に引っ張られた場合は、内方向(鼻側)に寄せる筋肉(輻湊力)を働かせます。
・プリズム作用により眼の筋肉が内方向に引っ張られた場合は、外方向に寄せる筋肉(開散力)を働かせます。
この眼球運動は、眼の疲れを引き起こす恐れがあります。
また、プリズム作用は空間視の違和感を引き起こすこともあります。
つまり、眼の筋肉がプリズム作用と闘い、プリズム作用と綱引きをするようなことになります。
今回の眼鏡処方箋
本当のPDは52mmなのに、光心を62mmで入れると、1△(プリズム)以上の誤差が生じてしまいます。
これは、「輻輳力が強要される」ということです。
子供の遠視は、「内斜位」になりやすい傾向にあります。
その上に、輻輳力が強要されると、本当の内斜位になる恐れがでてきます。
(眼位を調整する目的で、意図してPDを62mmとした可能性もありますが、それならそうと書くべきだし、そんなことをするとも考えづらい・・・)
これはマズイ! 眼科に問い合わせしてみないと・・・・。
近視で外斜位の場合、
原則的には「近視で外斜位のかたは、できるだけ基本度数に近い度数で調製する」ということがあります。
では、その外斜位をプリズム矯正するかどうか。
これは一概に言えることではありません。
眼鏡技術者の考え方もそれぞれで、検査方法もいろんな流派があったりします。
それぞれに特徴があり、「絶対に唯一正しい」ものはありません。
ひとつ言えることは、
「ビジョンテスター」という検査用具を使用して屈折度数を測定すると、「器械近視」といって、眼の屈折状態がより近視側に測定されることがあります。
それは、筒のようなものを不自然な状態でのぞきこむことにより、「調節力」が影響を受けるからです。
つまり、不自然な検査用具を使用しての測定は、過度に緊張してしまって、水晶体を膨らませる調節機能が強くおこなわれやすくなり、屈折度数が近視側に移行しやすくなるのです。
この現象は、調節力が旺盛にある若い人ほどおきやすいです。
過度に調節機能がおこなわれている状態は、乱視や眼位にも影響します。
ビジョンテスターでの検査とテストフレーム検査とでは、乱視度数、乱視軸、眼位が違っている・・・というのは珍しいことでありません。
また、ビジョンテスターでの検査は
・眼と器械の位置関係が正常でないと、レンズのプリズム作用が生じることになり、正確な検査ができません。
動かないように・・・と思うと、緊張感を呼ぶことがあります。
検査中にお客様の表情の変化などもこの器械を使用すると観察しづらいです。
眼科発行の眼鏡処方箋でメガネ調製をご希望の7歳のお客様。
その処方箋を拝見すると、PD(瞳孔間距離)が「62mm」と記入されています。
えー、62mmですか・・・・・、2年前のPDは49mmです。
ウーン、そんなに急激のお顔が大きくなったようには見えません。
62mmは、もう大人サイズのPDです。
当店でPDのチェックをすると、53mmです。
さて、どうするか。
このまま光心を「62mm」に合わせて調製するか・・・・。
レンズには光心(光学中心)があります。普通、光心をそのかたのPD(瞳孔中心間距離)に合わせて調製します。この作業を「心取り」と呼びます。
もし、光心とPDが合っていないとどうなるか。
そもそも眼鏡レンズはプリズムレンズの集合体と言えますから、視線とPDが一致していないとプリズム作用が生じます。
プリズム作用が生じると、眼の筋肉がレンズの基底の方向に引っ張られることになります。
すると、眼は両眼の視線を注視点に合わせるために、引っ張られることに逆らうような眼球運動をします。
眼科では「1.0(視力)見えるメガネはダメ!」というところもあるようですが、なぜいけないのでしょうか?
おそらく「近視進行に配慮して、度数を弱めて調製する」ということなのでしょうが、「5mでの完全矯正度数(基本度数)で調製すると近視度数が進行する」という絶対的な根拠はありません。
ましてや、1.0はダメで0・9ならOKという根拠はどこからきているのでしょうか。
たとえば、(近視度数 視力)
S-1.00Dでは0・9
S-1.25Dでは1.0
S-1・50Dでは1.2
S-1.75Dでは0・9
の場合、過矯正のS-1.75Dでもいいの?ってことにもなります。
もし、調節性輻輳を期待するとしても、過矯正で処方するのは現実的ではありません。
この場合、近視で外斜位のかたは外斜位量などにもよりますが、S-1.50Dで調製したほうが眼位には好都合です。
もちろん、視力、前眼鏡度数、年齢なども考慮に入れて調製するべきです。
近視度数を調製するときも、「必ず眼位も考慮に入れて調製する」
ということが眼鏡調製の基本です。
学童期の視生活は、一年一年が成人よりも大事です。
0.7とか0.5とかの視力を気にする親御様は多いのですが、眼位も気にしていただきたいです。
近視で外斜位の場合
斜位量や融像力によっては眼精疲労も大きくなり、近見視で時々モノが二重に見えたりすることもあります。
ですから、原則的には「近視で外斜位のかたは、できるだけ基本度数に近い度数で調製する」ということなのですが、原則は鉄則ではありません。
メガネが初めてのかたや、弱い度数を掛けていたかたが、基本度数で調製することにより、違和感が強く生じる場合もあります。
「度数をキッチリと調製(5mでの基本度数)すると、それに引っ張られて近視が進む」という曖昧な根拠も絶対にないとは言い切れないからです。
何でもメリットがあればデメリットもあるというのが世の習いだと思います。
外斜位、融像力、調節力、視機能、装用感、将来的なことなど全般的に考慮して、調製度数を検討することが肝心です。
特に成長期のお子様の場合、視機能を考慮に入れて度数調製をしないと、一生後悔することにもなりかねません。
当店は、眼位を考慮に入れて成長期のかたの近視度数をアドバイスいたします。
外斜位のかたの視機能トレーニングの方法もアドバイスいたします。
なお、視力回復訓練は調節緊張や仮性近視には有効かも知れませんが、近視進行防止は難しいと思います。
仮性近視ならば薬による治療で有効な場合もありますが、軸性近視(本当の近視)ならば、薬による治療効果はありません。
仮性近視と仮定して、薬で治療するとしても、一ヶ月以上視力が改善することがなかったら、それ以上の治療は負担になるだけです。
近視で外斜位のかたが、近視度数を弱めて調製することにより、外斜位を助長する場合があります。
外斜位量が大きくなると、斜位から斜視に移行する恐れもあります。
斜位が強いか、斜位量に比較して融像力が弱いと。
↓外眼筋の緊張だけでは、両眼視が困難となる。
↓複視が生じる。
↓脳は、複視を嫌うので抑制をする。
↓斜位から斜視になる。
↓斜視になると、眼位異常は顕在する。
●外斜視
無限遠方を見ているときに、片眼は外側を向いています。
片眼が網膜の正常な位置に結像することができません。
日本眼鏡技術者協会 生涯教育2020より
<近視進行予防法>
近視発生の予防や近視進行コントロールを効率的にするためには、近視発生メカニズムの解明がまず必要である。
これがまだない今、様々な仮説に基づいた方法で対処しているのが現状である。
それらの対処法での効果の比較は、次のようである。
① 低矯正眼鏡処方 (-19%)
~
⑥0.01%アトロピン点眼(76%)
100%は完全に近視進行が止まるを意味する。
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近視の低矯正は、近視進行の予防になるどことか、マイナス表示になっています。
これは、「近視の進行を促す効果になっている」ことを意味するのでしょう・・・・。
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当店HPより
10代のかたは身体の成長とともに眼軸も変化し、近視度数も変動しやすいです。
人間の眼の一生で一番変化しやすい時期といえるでしょう。
勉強などの近見作業を集中して行うために、近視の進行も促されます。
近視の進行を少しでも遅らせるには、望遠訓練(遠くの景色などをリラックスして見る)などの方法がありますが、それ以上に近見視をすることが多いと、効果は期待できません。
また、そのような訓練をしたとしても、近視進行を遅らせることができなきいかたも少なくありません。
学童期の近視は「進むかたは進み、訓練をしてもしなくても進まないかたは、たいして進まない」現実もあります。
これは、遺伝的要素もあり、個々人の特性によるものです。
ただ、いずれにしろ携帯電話やスマホを見る時間は少なくして、遠くの山の緑を見ることは眼のためにいいことです。
脳もリラックスしますから身体にもいいです。
メガネも脳で上手にコントロールをして、脳で使いこなす道具です。
モノを見るメカニズムは外界の光線がメガネ→目(角膜など)→網膜→視神経→脳と伝わり、モノを見ているのは目ですけど、モノを感じているのは脳です。
脳にトラブルがおきればモノが二重に見えたりすることがあります。
目は「脳の出先器官」と言われています。
脳が正常に働くように、両目の連動を整えていくことがメガネの役目です。
メガネ調製のための検査でも、「脳力(脳の能力)」がどれぐらいあるかをチェックしていきます。
検査時の受け答えの反応や、仕草、顔色。装用テストなどで総合的な「脳力度」を探っていき、適切なアドバイスをいたします。
脳力度はメガネ調製に関して「適応能力」、「許容能力」 をチェックします。
メガネは目の前に掛けるので、裸眼とは違う感覚になり「違和感」がまったくゼロにはなりません。
そのゼロにならない違和感をどのぐらい感じるかが個人差があり、十人十色です。
違和感に対してまったく平気なかたもいますし、非常に不快な感じになるかたもいます。
違和感に対して、「慣れる、使いこなす」などの適応能力、「どのぐらいまでの違和感なら大丈夫か」などの許容能力が知りたいのです。
R Sー2.50D
L Sー2.50D
この度数↑から、
この調製度数↓になった場合、
R S-4.75D C-0.25D Ax170
L S-3.75D C-0.50D Ax10
(S-は近視度数、Dは度数の単位、Cは乱視度数、Axは乱時軸)
前回の度数とは大きく変化しています。
その変化は、
・調節量
・網膜像の大きさ
・眼球回旋量(眼球を動かす量)
などの変化もみられます。
人間は変化を嫌う傾向にあるので、度数交換もできれば変化量を少なくしたほうがいいです。
そのためには、「目の変化とともレンズ度数は変えていく」ことも必要です。
人間の目も生きていますから、常に変化はしています。
成長期は、その変化も早いので、できれば1年に一度は度数チェックをしたほうがいいです。
事例
B様 18歳
両眼開放屈折検査(5m)での完全矯正度数(本当の度数)は、
R S-4.75D C-0.25D Ax170
L S-3.75D C-0.50D Ax10
(S-は近視度数、Dは度数の単位、Cは乱視度数、Axは乱時軸)
4年前に調製したメガネの度は
R Sー2.50D
L Sー2.50D
眼科処方で調製したメガネです。
さて、今回の調製度数(実際に作る度数)をどうするか・・・・。
メガネのレンズ度数は、通常0.25D刻みであります。
S-2.50Dの一段上の度数は、S-2.75D、その上はSー3.00Dと。
「慣れやすい度数」を優先するならば、一段階だけ強めた「S-2.75D(左右同度数)」です。
とりあえず「慣れやすい度数」で調製し、短期間でまたレンズ交換をする方法もあります。
しかし、資源、費用の点で問題がでてきます。(「無料で交換」としていても、結局負担するのはユーザーです)
また、「安易な低矯正は近視の進行が進みやすい」ということも言われています。
「視機能」を優先するならば「完全矯正度数」を選択していただきます。
しかし、その度数で調製すると「強くて掛けられません・・・」と訴えられる恐れもでてきます。
さて、どうするか・・・・。
お客様とお話合いの結果、
R Sー4.50D Cー0.25D Ax170
L S-3.50D C-0.50D Ax10
完全矯正度数よりも近視度数を1段階だけ弱めた度数で調製しました。
前回との度数差を考えると、ちょっと勇気のいる度数調製です。
ま、でもB様は18歳で順応性も高いですから、大丈夫でしょう・・・・。
(その後、問題なくご使用できているようです)
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