輻輳力が弱いと 27
事例
70代のC様 2
平成24年4月に調製させていただいたメガネの具合が悪いとのことです。
それで当店からC様にご連絡をさしあげました。
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C様
いつもありがとうございます。
4月のC様のメガネデータです。
5mでの屈折度数(基本度数)は
R(右眼) S+1.25D C-0.50D Ax85
L(左眼) S+1.25D C-0.75D Ax95
(S+が遠視度数、Dは度数の単位、Cが乱視度数、 Axが乱視軸になります)
という度数でした。
度数は通常0.25刻みで、数字が大きいほど強い度数になります。
左眼の矯正視力(メガネを掛けての視力)は、右眼に比較して、やや弱かったです。
調製度数はお話合いの結果、近見での見え方を優先されて、
R(右眼) S+1.25D C-0.50D Ax85 加入度数 +3.00
L(左眼) S+1.25D C-0.75D Ax95 加入度数 +3.00
の度数で、中近両用メガネに決定していただきました。
眼位(視軸の向き)は*斜位がありました。
* 斜位とは
潜在的な視線のズレで、両眼視をしている間はこの視線のズレは観察されません。斜位の方向に対して眼の筋肉(融像力)をつかって正位の位置まで戻されています。
顕在的な視線のズレは斜視と呼ばれています。
斜位の矯正は、
R(右眼) 1.50△B.I.
L(左眼) 1.50△B.I.
(△は斜位(プリズム)量です。Bは斜位の方向です)
で調製させていただくことになりました。
C様の以前のメガネは平成13年にお作りいただきました
R(右眼) S+±0.00D 加入度数 +2.25
L(左眼) S±0.00D 加入度数 +2.25
という度数でした。
この度数に比較しますと、今回の調製度数は、度数の変化幅が大きいために、違和感等の問題が発生しているものと思われます。(もちろん、体調や環境などにより適応能力は左右されます)
それは、人間というのは個人差も大きいですが、変化を嫌う性質もあるからです。
しかし、今回は近見部の見え方を優先されましたので、上記の度数で調製させていだくことになりました。
前回の度数を長く引っ張りすぎたということもありますが、調製度数で具合が悪い場合は共同責任として○○でレンズの交換をしていきます。
つきましては、どの度数にするかを選択してください。
提案度数①
斜位の矯正はゼロにして、加入度数を2段階弱めた度数
R(右眼) S+1.25D C-0.50D Ax85 加入度数 +2.50
L(左眼) S+1.25D C-0.75D Ax95 加入度数 +2.50
提案度数②
斜位の矯正はゼロにして、加入度数、遠視度数、乱視度数を2段階弱めた度数
R(右眼) S+0.75D 加入度数 +2.50
L(左眼) S+0.75D C-0.25D Ax95 加入度数 +2.50
提案度数③
斜位の矯正はゼロにして、左右同度数にして、以前のメガネよりも遠視と加入度数を1段階だけ強めた度数
R(右眼) S+0.25D 加入度数 +2.50
L(左眼) S+0.25D 加入度数 +2.50
違和感の点では 、以前の度数に最も近い③番が少ないと思いますが、見え方の点では、③番が最も劣ると思います。
この度数以外にも、遠用度数は左右ともS+0.50Dにする方法もあります。
いずれにしたしましても、メガネは見るための道具であり、眼位を整えないことの問題点も起きますが、見え方などと違和感を天秤にかけまして度数を選択してください。
誠に御面倒ですが、ご来店ください。
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メガネ調製は「何を優先して、何を妥協するか」色んな選択肢があります。
最終的には、お客様にそのご判断を委ねていきます。
もちろん、私達がしっかりとそのお手伝いをしていきます。
今回のように、選択肢を具体的にご提案することもあります。
その後、C様から「慣れました」とご連絡をいただきました。(^^♪
もしレンズの交換をしたとしても、問題点(見え方、視機能など)は残ります。
「違和感」は、時間で解消できることは少なくありません。
「慣れる努力をしてみる」のは良い選択です。
それでもダメなら・・・・・。
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