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事例2
C様には、フレナル膜プリズムを「左眼」に貼り、矯正することになりました。
目的は、
・完全抑制を防ぐ→複視の解消→正常な両眼視をする。です。
危惧するのは、相手からの見た目です。
フレネル膜は目立つために、学校で冷やかされるのでは・・・・。
それで、「家では貼り、学校では外す」というやり方もご説明しました。
(もちろん、できれば貼りっぱなしのほうがいいです)
簡単に外すことができるのもフレネル膜プリズムの利点です。
事例2
左眼斜視であるC様
バゴリーニ検査では、「完全抑制」ではありませんでした。
光点を見る距離によっても、抑制状態が変わります。
偏位量(ズレ量)を検査してみると、
26△B.I.(ベースイン)ぐらいありました。
(△はプリズム度数、B.I.はプリズム基低方向)
プリズムレンズは、眼の視線の向きを変えるために使用されるレンズです。
さて、こんな場合プリズム矯正で、
「レンズでつけられるプリズム量で試してみる」方法もあります。
(レンズ本体でつけられるプリズム量は、単焦点レンズでは5△ぐらいです)
C様にその方法(左右眼で、10△B.I.)で試していただきますと「ダメです!複視になります」とおっしゃいました。
やはり、10△ではダメです。
これぐらい離れていて、あまり気にならなかった複像が
10△で、これぐらいに近づくと、しっかりと複視を自覚します。
これは気になります・・・・。
事例2 10代のC様
令和2年に眼鏡処方箋度数の
R(右眼) S-0.75D
L(左眼) S-1.75D
で調製しました。
このメガネで見えづらいとのことで、今回当店で検査をしてみました。
両眼開放屈折検査(5m)では、
R Sー2.25D C-0.75D Ax180
L S-3.75D C-0.75D Ax180
(Sは近視度数、Cは乱視度数、Dは度数の単位、Axは乱視軸)
眼位は「左眼外斜視」
十字テスト、コの字テストなどのテストでは「左眼抑制」でした。
それで「完全抑制」かどうかをチェックするために「バゴリーニ検査」をいろんな距離でやってみました。
・ 抑制の検査 ↑
バゴリーニ線条レンズ法
日常視に最も近い環境において検査ができるため、その検査結果の信頼性が高い。
今回、少しでも眼位(視機能)を整えることを目的にメガネを調製しました。
左眼の近視度数は、調節性輻輳を期待して完全矯正にしました。
「1.0(視力)見えるメガネはダメ!」というところもあるようですが、なぜいけないのでしょうか?
おそらく「近視進行に配慮して、度数を弱めて調製する」ということなのでしょうが、「5mでの完全矯正度数(基本度数)で調製すると近視度数が進行する」という絶対的な根拠はありません。
ましてや、1.0はダメで0・9ならOKという根拠はどこからきているのでしょうか。
たとえば、(近視度数 視力)
S-1.00Dでは0・9
S-1.25Dでは1.0
S-1・50Dでは1.2
S-1.75Dでは0・9
の場合、過矯正のS-1.75Dでもいいの?ってことにもなります。
もし、調節性輻輳を期待するとしても、過矯正で処方するのは現実的ではありません。
この場合、近視で外斜位のかたは外斜位量などにもよりますが、S-1.50Dで調製したほうが眼位には好都合です。
もちろん、視力、前眼鏡度数、年齢なども考慮に入れて調製するべきです。
近視度数を調製するときも、「必ず眼位も考慮に入れて調製する」
ということが眼鏡調製の基本です。
学童期の視生活は、一年一年が成人よりも大事です。
0.7とか0.5とかの視力を気にする親御様は多いのですが、眼位も気にしていただきたいです。
親御様には下記のようにご説明しました。(一部です)
B様の場合、眼位ズレがあります。完全斜視になり、片眼が抑制してしまい、抑制が深くなりますと、その抑制を除去するのは、そうとう困難になります。
斜視の状態を正常な両眼視に持っていくのは、厳しいことも予想されますが、今のままの眼位では、将来的に不具合がでる恐れがあります。
頑張ってトレーニングをしてください。
しかし、トレーニングは眼の筋肉に負荷を与えることにもなりますので、適度に毎日行ってください。
短時間でも毎日実施することが大事です。 親御様のご協力も不可欠です。
定期的に眼球の動きを観察して、眼位もチェックしてください。
○○遮眼子で、眼位のチェックをしてください。
B様の場合、確認していただきたいのは、「○光源と△光源が見えているかどうか」です。
○光源がどこにも見えていないときは、抑制が入っている可能性があります。 ○光源が左にズレて見えるときは、外斜位の状態です。意識(眼球を内側に寄せる感じ)をすれば○光源が動くかどうかも確認してください。
動くときは、運動性の融像力が働いています。
眼のトレーニングは、単調で楽しいものではないですから、励ましてあげてください。
今回、両眼で○△のプリズム矯正をしています。その分融像力(輻輳力)が節約できます。
しかし、偏位量に比較すれば少ないプリズム量です。
プリズム効果により脳が積極的に両眼視しようとすると、かえって眼精疲労が増すこともあります。
これは、左右眼の網膜像が正常対応への過程として発生するものです。
この眼精疲労は心配することはありません。
また、プリズム矯正により裸眼に比較しまして融像が変化します。(そのためのプリズム矯正です)
融像の変化は、深径覚の変化なども起こってくる場合があります。(抑制をしているかたは、通常そういう変化は起きません)それも心配はいりません。
斜位は潜在している眼位異常があっても両眼視ができるのは、人間の眼には「融像」と言って、左右の網膜に映った像を一つにまとめて、単一視する機能が備わっているからです。
すなわち、斜位の眼位異常は融像する眼の力によって、矯正されています。
ということは、両眼でものを見ている限りは、常に斜位を矯正しようとする融像力を働かせないといけないので、眼精疲労が生じる場合が多くなります。
通常、完全抑制をしている(単眼視)かたは、眼精疲労は起きづらいです。融像性の眼精疲労があるということは、融像している証拠(両眼視)でもありますので、けっして悪いことばかりではありません。
B様の調製度数、
R(右眼) S±0.00
L(左眼) S-0.75D
プリズム矯正と視機能トレーニングで、恒常性斜視にならないようにメガネを調製することになりました。
その後、B様がご来店されました。
裸眼視力は、
R(右眼) 1.0
L(左眼) 0.2
でした。
左眼はL(左眼) S―0.75Dの近視がありました。
左右眼で視力差はありますが、度数差は大きくないので不同視ではありません。
眼位(視軸の向き)は斜視(斜位)があります。
主に左眼が偏位しやすいようでした。
斜視眼のかたは、抑制をされているかたが多いのですが、B様は「完全抑制」はしていません。
ですから、完全な斜視とはいえません。
斜視になったり、斜位になったりすることを「間歇性外斜視」といいます。
通常、完全抑制が入っている斜視のかたは、両眼視をすることは困難なのでプリズム矯正をしても効果がない場合が多いです。
B様の場合は、不完全ながらも両眼視をしています。立体視もできます。
おそらく強い融像力があるからです。
B様
今の視力で眼科ではメガネを否定しています。
眼精疲労も酷いので、眼精疲労をとる為のメガネを作ることは可能でしょうか?
この視力でメガネを掛けると視力低下が早まるのでしょうか。?
浜田
息子様が斜位であれば、プリズム眼鏡で矯正が可能ですし、不同視でも息子様の年齢ですと、かなりの矯正が可能です。
メガネをかけると視力低下が早まる可能性はゼロではないと思いますが、早まるという根拠はありません。
大切なのは成長期に高度な視機能を確立することですから、それには適切なメガネ矯正が必要不可欠です。
ただし、息子様が遠視の場合、やはり散瞳点眼薬での検査が必要になる場合が多いので当店での測定は難しくなります。
そうなると眼科での検査になるのですが、視機能に関しては無関心な眼科が多いのが現実です。
事例2
小学生のB様
B様の親御様からメールで、お問い合わせをいただきました。
(B様のメールは、編集しています)
B様
左眼が見えづらくなっています。遠くのものが左眼だと2重に見えていると訴えました。
4歳ときの眼科の診察では立体視はできているから手術は不要と言われた。
不同視なので、眼精疲労があります。
浜田
メールではわかりづらい点もあるのですが、まず、不同視とは左右で屈折度数(遠視、近視の度数)が大きく異なっているものをいいます。
裸眼視力や矯正視力が左右で違っていても屈折度数があまり違っていなければ不同視とは呼びません。
B様
眼科は「右眼は軽い遠視はあるけど、メガネを掛けると視力が悪くなるかも」との意見だった。
浜田
「メガネをかけると視力が悪くなる」との意見には賛成できません。それよりも遠視を放置することのデメリットは大きいと思います。
B様
斜視の角度はギリギリで手術するほどでもない。
外斜視だと3回手術が必要。
メガネでなんとかできないものか。
浜田
斜視と斜位は違います。
斜視は、両眼視の異常があります。
両眼でものを見ることはほとんどなく、片眼でものを見ます。
使わない(使えない)方の眼が偏位します。
偏位眼は右眼なら右眼が常に偏位している「片眼斜視」と、左右眼が交代に偏位する「交代斜視」があります。(ただし、一般的な斜視の場合です)
斜視眼は通常抑制することが多いのですが、抑制をするとモノが二重に見えることはありません。
息子様の場合、二重に見えて眼精疲労が強いのは「斜位」と思います。それか、時々斜視になる「間歇性斜視」ではないでしょうか。
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