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<複視の事例 4>
E様の場合、問題は「急に複視になった」ことです。
この場合、なんらかの原因で外眼筋麻痺が起こっている可能性が高いです。
外眼筋麻痺の原因は、外傷が多いので、E様にお尋ねすると「それは、ありません」と。
他に原因として、血管性病変、腫瘍、動脈瘤、炎症などがあり、薬の副作用なども考えられます。
それらの事もお尋ねすると「そういうこともありません」とおっしゃいました。
ただ、「手の震えをおさえる薬は、服用していますが、それは2年ぐらい前から飲んでいますから」とのことでした。
病院では異常ナシの診断だったので「原因が特定できない外眼筋麻痺」と考えるしかありません。
今回、下記の度数でプリズム入り遠近両用メガネを調製することになりました。
R S-1.25D C-0.50D Ax90 ADD2.00 5.0△B.U. 3.5△B.O
L Sー1.50D ADD2.00 5.0△B.D. 3.5△B.O.
が、しかしこのレンズは、メーカー特注になり、仕上がりまでに1週間かかります。
その1週間は複視になっているE様にとっては、大きな苦痛になりますから、その間、テストフレームにプリズム入りレンズをセットして、掛けていただくことにしました。
<複視の事例 4>
50代のE様
「3、4日前から物が二重に見える。朝起きたら二重の世界だった。
眼科、脳神経外科を受診したが異常なしとの診断だった」
カバーテストでは、上下方向、水平方向に大きな眼位異常が確認できました。
・ カバーテスト
眼位ズレの検査に用いています。
斜位があるのかどうか
斜位なのか斜視なのか
眼位ズレの方向は
など、カバーテストは*両眼視の状態や異常を知る上で欠くことのできない検査です。
両眼視とは
両眼を使って、あたかも一つの眼で物を見ているように感じる機能です。
同時視、融像、立体視、深径覚などの機能があります。
近視、乱視度数のチェックをして、眼位(視軸の向き)検査をしてみると、
左眼上斜位 R 10△B.U.
内斜位 8△B.O.
でした。
これぐらいの眼位ズレがありますと、複視になるはずです。
複視は大変な苦痛を伴い、日常生活や仕事、車の運転にも支障をきたします。
E様の場合、問題は「急に複視になった」ことです。
この場合、なんらかの原因で外眼筋麻痺が起こっている可能性が高いです。
<複視の事例 3>
ビジョントレーニングは、そのかたに適したやり方をアドバイスいたします。
トレーニングでは、輻輳刺激、開散刺激を起こしていき、その刺激により、眼と脳を鍛えます。
同時に立体視(左右の像が融像され、奥行き感覚が得られている状態)の向上も目指していきます。
両眼の連動が良くなり、眼球運動がスムーズになるように繰り返しトレーニングをしていきます。
・滑らかな眼球運動が行るようにトレーニングをします。
・輻輳力を鍛えます。
<複視の事例 3>
D様は運転が目的のメガネ調製ですが、近くも見えないと不便ということで遠近両用メガネで調製しました。
調製度数
R S-0.25D C-1.00D Ax170
ADD1.50 1.5△B.D. 2.5△B.I.
L Sー0.25D C-2.25D Ax5
ADD1.50 1.5△B.U. 2.5△B.I.
今回、眼位矯正をし、乱視度数も正確に調製しました。
正常な両眼視ができない時がありましたので、視機能トレーニングをしていただくようにしました。
しかし、D様はご病気のことで精神的に落ち込んでいました。
こんな場合、トレーニングは難しい点もあります。
トレーニングは眼筋に負荷を与えることにもなりますから、「視機能には良くても、自律神経には悪い」ことになる恐れもあるからです。
視機能トレーニングは脳の活性化にも有効ですから、体調を見ながら、適度にトレーニングをしていくしかなさそうです。
<複視の事例 3>
40代のD様
体調不良で脳外科を受診したところ、脳腫瘍が見つかり手術をされています。
眼科処方度数
R S±0.00 C-1.25D Ax180
L S±0.00 C-2.00D Ax180
で調製したメガネが「なんだか具合が悪い」と訴えられました。
眼科では「これ以上見えるメガネない」と言われたそうです。
当店検査、「両眼開放屈折検査」での基本度数は、
R S-0.25D C-1.00D Ax170
L Sー0.25D C-2.50D Ax5
眼位は、右眼上斜位 R 3~4△B.D.
外斜位 6△B.I.
でした。
D様は、時々複視になり、時々抑制もしていました。
眼科処方のメガネは眼位矯正(プリズム矯正)をしていません。
これは「なんだか具合が悪い」原因の一つです。
乱視度数に関しましては、乱視が強度になればなるほど、より正確に乱視軸を調製しないといけません。
C-2,00Dぐらいの乱視度数で、乱視軸が5度違えば大きく矯正効果が落ちます。
眼科処方では、左右とも90°、90°とか180°、180°という乱視軸が多いのですが、細かく測定すると、案外ピッタリ90°というのは少なくて85°だったり93°だったりします。
乱視度数が弱くて、単焦点レンズ(遠近両用ではないレンズ)なら、85°を90°で調製しても大きな問題になることは少ないですが、乱視度数が強くて、遠近両用レンズでは見え方に大きな影響がでてきます。
「これ以上見えるメガネはない」そんなことはないでしょう。
なぜ、眼科はそんなに断定したがるの?
<複視の事例 2>
その後、定期的に眼位を観察させていただくことにしました。
2ヶ月後には
眼位は
右 5△B.U.
になっていました。
5△B.U.でメガネを調製しました。
1年後には、右 8△B.U. と上下斜位が増えている傾向です。
そのころ、有名なF脳外科医の診断を仰いだところ、
「腫瘍は滑車神経の後ろにあって、ガンマ線の後遺症で滑車神経がやられている」とのこと。
F医師は「メガネ屋ごときが」とはおっしゃいませんでした。
さすが、わかってらっしゃる(^^♪
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眼球運動をつかさどる筋肉を「外眼筋」といいます。
外眼筋は、4つの直筋と、2つの斜筋で構成されています。
眼球運動の筋収縮には神経が関与しています。
外眼筋の神経支配は、
内直筋、上直筋、下直筋、下斜筋の4つが「動眼神経」
外直筋が「外転神経」
上斜筋が「滑車神経」
で支配されています。
19 外直筋
20 内直筋
21 上直筋
22 下直筋
23 下斜筋
24 上斜筋
正常な両眼視機能は、両眼の眼球運動が正常に働くことが条件です。
<臨時休業のお知らせ>
11月16日(水)は、臨時休業とさせていただきます。
11月17日(木)は、定休日です。
よろしくお願いいたします。
<複視の事例 2>
ウーン、当店で調製することのどこに問題があるのでしょうか。
C様はプリズム眼鏡なしでは、日常生活にも支障がでています。
その状況を少しでも緩和するために、当方とすれば全身全霊を傾けて調製しています。
C様のようなケースでは、眼位は不安定になりやすく、数回に分けて検査することもあります。
その場合、検査されるかたのご負担、体調なども考慮に入れて、慎重に丁寧に眼位検査をしていきます。
一つの検査だけではなく、複数の眼位検査をするときもあります。
視距離によって眼位が変化する可能性もありますので、5m、2.5m、40㎝での測定を実施します。
融像力検査もしていきます。
↑眼位検査に使用してるプリズムバー
そういう過程をへて、C様との共同作業で導き出されたプリズム値でメガネを調製をしていきます。
このメガネはC様と当方との共同責任になります。
「これのどこに文句があるの!」と言いたいです。
病院が手間暇かけて適切なプリズム処方ができるものなのやってください。
そしてその処方に責任を持ってください。
でも結果責任は持てないですよね。病院は結果責任を問われないところですから。
なら、光学的対応は眼鏡士を利用してくれればいいのです。
病院がすべてのことができるわけではないのに、光学的対応をする(病院ができないことをする)メガネ屋を非難するのはいただけません。
患者さんが何に困っているのか。何を望んでいるのか。もっとユーザー本位に考えてください。
結局、C様は配慮が足らない病院に不信感をいだかれました。
こうなると、患者さんも病院も不幸です。
<複視の事例 2>
50代のC様
急にものが二つに見えるようになった。高知の病院で診てもらったところ、「脳腫瘍」でした。
その脳腫瘍は、「取るにはリスクが大きすぎるので、取れない」との診断。
大阪の病院へもセカンドオピニオンを求めて受診されましたが、「やはり手術はリスクが大きい。今のところ手術はしないほうがいい」とのことです。
脳腫瘍が原因の眼球運動障害が発生しています。
複視があり眼精疲労が激しいので、当店でプリズム矯正をしてみることになりました。
遠視がありましたので、遠視の矯正をして
眼位は、
右 3△ B.U.
で矯正。2△B.U.では、複視になりました。
(上下方向は融像が難しいので、複視が起こりやすくなります)
水平方向への眼位ズレもあり、
2△B.I.で矯正。
そのメガネを病院で見せたところ、病院はメガネ屋の検査でメガネを調製したことを非難されたそうです。
<複視の事例 1>
遠隔地のかたなので、メガネはお送りすることにしました。
後日B様から「調子良く使わせていただいています。横を見ても複視は気になりません」とのメールをいただきました。
B様は以前のメガネ(病気になる前のメガネ)は、車の運転時のみ掛けていたということでした。
B様は左右眼で度数差があります。それでは視機能に問題が発生しやすくなり、元々、上下斜位があったのかも知れません。
脳卒中の原因の一つにストレスがありますが、視機能に問題があると、ストレスに繋がりやすくなります。
「脳卒中の原因は斜位だった」可能性もないとは言い切れません。
その後、近見用メガネを調製にご来店されました。
遠見眼位は、
右眼上斜位 R 6.0~8.0△B.D.(ベースダウン)
近見眼位は、
R 17.0△B.D.(ベースダウン)
でした。
上下斜位量が増えています。
今回は、近方用メガネで
R Sー0.50D
L S+1.00D C-0.50D Ax20
プリズム矯正は、R 10.0△B.D.で調製しました。
今後、脳の状態などによって、斜位量が大きく変動することも考えられます。
定期的に眼位を確認して、適切な矯正をしていかないといけません。
脳は、複視を嫌うので、複視を消すために網膜からの刺激を感受することを拒絶することがあります。
これを「抑制」と言います。
脳が混乱を避けるための防衛反応とも言えます。
もし、抑制が生じると正常な両眼視機能は、行えなくなります。
立体視もなくなります。
両眼複視を解消する方法として「片眼遮蔽(遮閉)」があります。
眼帯で遮蔽することもできますが、遮蔽レンズもあります。
↑遮蔽レンズと普通のレンズ
レンズを曇りガラス状に半透明にしています。
「オクルーダー」と呼ばれています。
この「片眼遮蔽法」、複視の自然治癒が期待できる期間は、できればしないほうがいいとされています。
遮蔽することによるデメリットも大きいからです。
複視を解消するための光学的対応としては「プリズム眼鏡」の選択があります。
プリズム眼鏡で両眼単一視を獲得できるのであれば、この対応は視機能的にも精神的にもメリットがあります。
眼位の変動も予想されますが、その場合はプリズム眼鏡の度数を変更すればOKです。
ただ、プリズム眼鏡は度数合わせなどの調製に、手間暇がかかります。光学的なテクニックも必要とします。
なので、積極的にやりたがらない(できない)医療機関もあります。
忙しい医療機関では無理もありませんが・・・・( 一一)
複視とは一つのものが二つに見える現象です。
<複視の事例 1>
40代のB様
頭痛が続き病院を受診したが、原因不明でした。ロレツが回らなくなり専門医を受診すると「脳卒中」だった。
それで、直ぐ手術をされています。
当店には「時々、複視になります」とご来店されました。
5mでの基本度数は、
R Sー2.00D
L Sー0.25D C-0.50D Ax20
遠見眼位は、上下方向の眼位ズレがあり
右眼上斜位 R 2.0△B.D.(ベースダウン)
眼球運動は、左眼の輻輳が弱いです。
動眼神経に問題が発生したので、やや内直筋に障害が出ています。
近見での眼位は、
右眼上斜位 R 8.0△B.D.(ベースダウン)
でした。
遠見眼位よりも近見眼位のほうがB.D.が大きかったです。
近見での複視が強く出そうです。
今回、遠方用メガネがご希望で、調製度数は
R Sー1.50D
L S±0.00D C-0.50D Ax20
プリズム矯正は、R 3.0△B.D.で調製しました。
近見視も考慮に入れてのプリズム量です。
しかし、このプリズム量では近見視には複視が発生する可能性が高くなりますから、近用メガネもおすすめしました。
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