複視は辛い 16
<複視の事例 4>
日本眼鏡技術者協会のテキスト本には、
「眼球運動麻痺では、自然治癒する例があり、発病後6ヶ月間は経過を観察するのが良いとされている。
報告によると219例のうち経過観察中に自然治癒した例が23例(11%)あり、47・8%が2ヶ月以内に、91.3%が6ヶ月以内に治癒したとある」
と書かれていました。
私が疑問に思うのは、E様はまず眼科、脳神経外科を受診されているのに、病院からはなんのアドバイスもなく「検査結果は異常なし」で結果的にE様を突き放したことです。
途方に暮れかけたE様は、ネットで当店を探り当て「この複視が、プリズムレンズでなんとか改善できますか」とご来店されました。
病院は「異常がないから心配しなくていいよ」だったのかも知れませんが、診断で異常がないのに肉体には大きな異常がある状態は、患者さんにとっては大きな不安になります。
その不安が、益々眼筋麻痺を悪化させた可能性もあったのではないでしょうか。
急に複視になった場合、眼科が脳神経外科を紹介するのはわかるとしても、眼科は「複視を解消するための光学的対応として、プリズム眼鏡の選択もあります」とアドバイスをしておけば、E様は少しでも安心したでしょう。
脳神経外科は、もっと問診を丁寧にしておけばよかったのではないでしょうか。
原因不明の外眼筋麻痺があるとしても、なんらかの要因がある可能性が高いわけですから。
E様が「そういえば、風邪薬を」とおっしゃったのも、私が何度も「なんらかの原因があるはずです。たとえば寝違えたり、どこかで頭を打ったり、はたまた強いストレスにさらされたりとか」原因追及をE様に促したので、それで「ひょっとしたら、風邪薬が」と薬の重複に思い至ったわけです。
E様とすれば、風邪薬の影響などまったく想定外だったので、複視には戸惑うばかりでした。
今の日本の医療体制では「病気は診るけど、人間は診ない」面があるのは仕方がないでしょうか。(-.-)
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