複視は辛い 45
複視の事例 10
80代のJ様
交通事故に遭い、長時間右眼が開かなかった。開いたときには複視になっていました。
とご来店されました。
眼科処方箋をご持参されていました。
右眼 膜プリズム 20△ 基底 70~80°
備考欄には、
右眼筋麻痺で上下方向に動きが障害されています。複視は顎の上げ下げで変わりますが、基底方向は上方から少し鼻側に回して、自覚的によい方向ではってください。
と書かれています。
それで、実際に20△フレネル膜テストレンズで、試していただきました。
まず、80°から 「ものが二つにみえます」とのこと。
75°では「これもダメ」
70°では「同じこと」
他の方向(基底)でも「複視です」とおっしゃいます。
さて、困りました。自覚的には20△では、よい方向がありません。
とりあえず、当店でプリズム度数の検査をしてみました。
備考欄にも書かれていたように、麻痺性の斜視は視方向によって、偏位量が異なることは珍しいことではないので、視線に配慮して検査をしました。
距離を変えての検査もしてみました。
不安定な要素もあると思いますので、検査方法も複数の検査を実施しました。
結果、 右眼10△~12△B.U. 5△~6△B.I.ぐらいの矯正で複視が解消されます。
では、どうするかです。
「複視が解消されるプリズム度数で作ったらいいのじゃないの!」と思われるかたも少なくないでしょう。
だけど、そうは簡単にはいかないのです。
病気ではない普通の大人のメガネ調製ならいざしらず、(それでも処方箋度数絶対厳守の店もあります)この場合、「麻痺性斜視」という病的なものが絡んできます。
今後、お客様と眼科との関係のこともありますし、処方箋通りに作らないと問題が起きる恐れが出てきます。
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