近視で内斜位 29
事例5
ところで、眼科処方箋にはPD(瞳孔間距離)が59mmと記載されていました。
が、E様の瞳孔距離は62mmです。
普通、光心をそのかたのPD(瞳孔中心間距離)に合わせて調製します。この作業を「心取り」と呼びます。
もし、光心とPDが合っていないとどうなるか。
そもそも眼鏡レンズはプリズムレンズの集合体と言えますから、視線とPDが一致していないとプリズム作用が生じることになります。
↑ PDと眼鏡レンズの光心が一致することによりプリズム誤差は生じません。
もし眼科処方通り、59mmで調製しますと、基底外方のプリズム作用が生じます。
これは結果的に内斜位を矯正するベースアウトプリズム(約0.5△プリズム)が入ります。
それを意図的に59mmにしたのならば、「プリズム不要」とは矛盾します。
そういうことは関係なしに、単純に瞳孔距離の測定がまずかったのかも知れません。
↑ 光心をPDよりも狭く入れることにより、基底外方のプリズム作用は耳側方向に働きます。
結果、内斜位のあるかたの開散力が緩和されます。
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