乱視について 6

乱視は、乱視の方向(軸)により3種類に分類されます。

方向による乱視の分類
・直乱視    眼球の縦方向の屈折が強い乱視
・倒乱視    眼球の横方向の屈折が強い乱視
・斜乱視    眼球の屈折の強い方向が斜めの乱視

乱視の空間視の感じ方
乱視眼は、眼球の方向により屈折が異なる眼です。

方向によりレンズの度数が異なる乱視レンズで矯正することになります。
ということは、網膜像の拡大率が方向により違ってくるために、像が縦長に見えたり、横長に見えたり、傾いて見えたりします。

しかし、人間の脳は良くしたもので、このような違和感を取り除く処理能力ももっています。

その処理能力は個人差も大きくて、直ぐ処理できるかたもいますけど、なかかな処理できないかたもいます。
乱視度数が弱ければ、直ぐ処理できるというものでもありませんし、大丈夫かなと思うような強い乱視でも直ぐ馴染んでしまうかたもおられます。

馴染み具合は、そのかたの、度数、メガネ歴、または性格などにより左右されます。

乱視について 5

当店は、ビジョンテスターを使用しての乱視測定はしていません。

ビジョンテスターを使用して、接近ボックス視力表での検査は、不必要な調節が介入する恐れが高くなります。
これは、乱視の検査に大きく影響します。

当店は、より自然な測定方法であるテストフレームを使用して、乱視測定をします。




↑ビジョンテスター              ↑接近ボックス視力表

当店は、より自然な測定方法であるテストフレームを使用して、乱視測定をします。

↑テストフレーム



   

 

乱視について 4

当店は、±0.12、 ±0.25、±0.50、±0.75、±1.00のクロスシリンダーを駆使して、細かく乱視の測定をしています。

±1.00→±0.75→±0.50→±0.25→±0.12とより細かい測定になります。

通常乱視度数のレンズは0.25刻みになっていて、C-0.25D、C-0.50D、C-0.75D、C-1.00・・・・。とあります。
ですが、人間の眼の乱視は0.25刻みにはなっていません。
「0,25Dと0.50Dの中間ぐらい」、とか「中間よりはやや0.50Dに近い」ということがよくあります。

乱視を自覚検査において正確に把握することは、重要です。そのデータを基に、調製度数を決定する段階で、考慮に入れていきます。


乱視について 3

●乱視の検査
乱視の自覚的屈折検査(お客様に応えを委ねる測定)は、主に二つあります。

 

乱視の自覚的屈折検査

当店は、「クロスシリンダー+両眼開放屈折検査」の組み合わせで乱視の測定をしています。

●放射線乱視表測定 ↑
放射線の濃淡の判断で、乱視を測っていく方法です。
この方法でも上手にやれば、制度の高い乱視測定が行えますが、乱視の細かい測定は苦手です。
乱視の種類、度数によりましては、検出されない場合もあります。


●クロスシリンダー測定 ↑
クロスリリンダーという道具を使用して、乱視を測っていく方法です。

この方法に「両眼開放屈折検査」を組み合わせれば、検出精度が一段と向上します。

乱視について 2

乱視とは、眼に入ってくる光の向きによって、光線の結像位置が変わってしまう状態をいいます。
下図はその一例で、縦方向の光は網膜より後に結像し(遠視状態)、横方向の光は網膜より手前に結像(近視状態)していることを表しています。

もちろん両方の結像点とも網膜の手前にある場合(近視の乱視)もあれば、逆に両方とも網膜の後にある場合(遠視の乱視)もあります。

また、屈折力の最も強い経線と最も弱い経線は、必ず下図のように縦横の関係にあるわけではなく、人により斜め方向にもなります。この向きを乱視の軸とよび、屈折力が最も強い経線か垂直方向ならば「直乱視」、水平方向ならば「倒乱視」、斜め方向ならば「斜乱視」といいます。

以上は、屈折力の最も強い経線と最も弱い経線が、直交していること(これを正乱視という)が前提でしたが、まれに「不正乱視」という、経線ごとに屈折力が異なる人もいます。正乱視はメガネで矯正できますが、不正乱視はハードコンタクトレンズなどで矯正するのが一般的です。

SEIKO HPより


縦方向よりも、横方向のほうが屈折が強い乱視眼です。


乱視眼の矯正には、その乱視軸に合わせ、経線の屈折力が異なるレンズを使用します。

乱視について

乱視について

乱視は日本語で「乱れる」という文字が入っています。これは悪いイメージを受けがちですが、実際には人間の目で乱視のない完璧な形の目は存在しません。
つまり、目は野球のボールのようにキレイなまんまるではなく、縦のカーブと横のカーブが異なるタマゴのような形です。
そのカーブの違いを乱視といいます。

縦のカーブと横のカーブが違いは、ものの見え方のハッキリ差が縦方向と横方向では違ってきます。
人によっては、そのことで眼精疲労の原因になることもあります。
乱視による眼精疲労は、乱視を適正に矯正することで解消されます。

なお、乱視そのものは病気ではありません。ご安心ください。

近視で内斜位 41

事例 6

2ヶ月後、「眼精疲労があります」とご来店いただきました。
やはり。
R S-1.50D             1.00△ B.O.
L S-0.25D C-1.00D Ax85  1.00△ B.O.      
の度数で再々調製することになりました。

プリズム矯正をすることにより、ほぼ確実に眼位は変化します。
人間は変化を嫌う傾向にあるのですが、変化に適応する能力も持っています。

適応能力は個人差も大きいのですが、「柔軟な考え方」でメガネ調製をしたほうが上手くいく確率が高くなります。

近視で内斜位 40

事例 6

今回、F様の②番のメガネは「プリズム入りメガネ」というよりも、度数バランスの悪いことが具合悪さの大きな原因だったことも考えられます。

当店で視力バランスを確認していただきますと、確実にNGでした。
(内斜位のかたは眼位が不安定で、眼位と連動している屈折度数が不安定になり、測定された時点ではこれぐらいの度数だったのかも知れませんが、左右でレンズを入れ間違えた可能性もあります)

①番のメガネを掛けられていて、②番のメガネを掛けると、それは具合が悪いでしょうね。

ですが、F様は「プリズム入りだから具合悪い!」と思い込まれています。(多分)
その思い込みが入っているかたに、正真正銘のプリズム入りメガネをご提案しました。
これは、少し勇気のいることです。クレームになる確率も高いですから。

でも「私にできる限りのことはいたします」と宣言をしていますから、視機能を優先するご提案をしました。

結果、プリズムメガネは上手くいかなかった訳ですが、それも意義のあることだったでしょう。

せめて1、2ヶ月は、試してほしかった。という私の希望もあるのですが、今回、F様の意向を優先しました。
ケースバイケースで対応するのも必要なことで、「理想と現実は違う」というのも一つの真理です。

将来的なことよりも現時点での不具合をなんとかしてくださいというお気持ちもわかります。

ただ、「プリズムメガネはダメ!」と決めつけるのは良くありません。

そもそもメガネレンズはプリズムレンズの集合体で、屈折異常、眼位異常を矯正するのもプリズムレンズです。

そのプリズムレンズを上手に調製していくことが、眼鏡技術者の使命でもあります。

近視で内斜位 39

事例 6

再度、検査をすることになり、
5mでの両眼開放屈折検査での基本度数は、
R S-2.00D C-0.25D Ax8 
L S-1.00D C-1.00D Ax80 
でした。
プリズム矯正をしていない状態での検査データです。

お話合いの結果、
R S-1.25D C-0.25D Ax8       
L S-0.50D C-0.75D Ax80    
の度数で再調製をしました。プリズムは入れていません。

今後、F様が内斜位が原因で色んな主訴が発生すると、その時はメリット>デメリットの関係で「プリズム入りメガネ」を受け入れてくれるかも知れません。

近視で内斜位 38

事例 6

先日はありがとうございました。
さて、調製しましたメガネの件ですが、お送りしました調製報告書に書いていましたように、F様の眼位を整えるようにしたほうがいいのですが、 眼位をコントロールするということは脳が反応しますので、その反応は違和感が生じやすいことも事実です。

ベースアウトプリズムは、「壁や床がへこんで見えたり、奥に後退して見える」ことがおきやすいです。

ただ、個人差があり、感じないかたはまったく感じません。
しかし違和感は、眼位が整うことによっても徐々に軽減されます。

メガネに慣れるには自律神経も左右されますので、その事も報告書には書かせていただきました。(今の時期、自律神経は乱れやすいです)

ですから、できればもう少し掛けていただいて調節と輻輳のバランスを良くしていただきたいのですが、F様のご希望もありますから、プリズム抜きでメガネを調製していきます。

その場合、眼位を無視して遠方が見やすい度数で調製していくのか、やはり眼位を考慮に入れて、近視度数を調整していくのかのご判断をしてください。
ご都合のよろしいときにご来店くださいませ。

と、お返事をしました。

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