眼鏡実習店は大きな店で、当時大阪では店舗面積当たり一番の売り上げがあったように思います。
メガネ調製は効率をよくするために完全分担作業でやっていました。
検査する人、接客する人、加工する人、調整する人・・・・。
検査する人だけでも4、5人いました。
もちろん、それだけ広い検査室があり、検査台も4、5台ありました。
加工機も4台あり、それがフルに稼働しても日曜日などは、追い付かないぐらい忙しかったです。
大阪ってところは、やはり「人がウジャウジャいる」と感じました・・・・・。
アルバイト中は接客を担当していましたが、実習期間は加工もさせてもらえました。
実習記録より ↓
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手摺りをするとき、セル枠だと左右同じにできないと形がおかしくなる。
メタル枠だと隙間があいてしまう。
ここでは自動玉摺機を置いているので、手摺りはお客様の持参されたレンズを入れるぐらいしかない。
レンズが同じような形だと少し摺ったら入るが、全然形の違うレンズだと同じ形にするのに時間がかかってしまう。
まず、だいたいの部分をダイヤモンド砥石で荒削りして次にセラミック砥石で平摺りをしてヤゲンを立てる。
ヤゲンの角度は通常110°~120°となっているが、それは個人差があると思う。
まず、フロントの部分を合わしていく。そうすれば軸が狂わない。
次に横の部分、最後に下の部分を合わしていくのが良いと思う。
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*ヤゲンとは、フレームリム溝に入れるために、レンズに山(逆Vの字)を立てることです。
こんな感じでレポートを書いていました。
とにかく忙しい店なので、加工もスピードを求められます。
実習生はその加工のスピードに驚かされます。
昔はガラスレンズをカット(かぎとる)する道具に「かぎ箱」と呼ばれる道具を使っていました。
(眼鏡技術読本より)
このかぎ箱でメガネレンズをガリガリとかぎとっていくのですが、学校ではレンズは「垂直に近い傾きにしましょう」と教えられました。

しかし、この店では「よくない例」ぐらいの傾きにして、もの凄い速さでレンズをかいでいきます。
その手の動きは、神業に見えました。
レンズを寝かせた状態で、レンズによってはスピードを加減しつつ、乱視レンズにも配慮し、しかも正確にかいでいきます。
後に、私も神業(らしきもの)を身に付けるのですが、今はその神業はまったく役には立っていません・・・・
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